【日記詳細】 星野はづき(51) T160/B98(G)/W63/H88

奥様会ランチ 

2025年07月06日 17:10

大奥のような午後

主人の勤める会社では、年に数回、重役夫人たちが集う「奥様会」がある。

今日のランチ会は、都心の高級ホテルにある個室レストラン。

しつらえは和モダン。けれど、障子の奥からひそひそと聞こえてきそうな噂話の気配は、まるで現代の“大奥”。


私は最年少の部類。けれど、年齢に甘えは許されない。

着物は控えめな江戸小紋。髪は夜会巻き。

ひとつ笑うにも、声の高さとタイミングが問われる。


「◯◯商事の奥様、こないだのお能の会、素敵でしたわよ」

「まあ、うれしい。今度ぜひご一緒に」


微笑の裏には牽制も探りも潜んでいて、食事の席は戦場。

けれど、私は嫌いじゃない。

女性たちの知性と品、そして女同士にしかわからない優美な駆け引きが、なぜか心地よく思える。


食後のほうじ茶の香りが立つ頃、ふと隣の席の奥様が私に耳打ちした。


「あなた、あの方のお気に入りだとか…うふふ」


頬がわずかに紅潮したのは、暑さのせいか、それとも――

品よく笑い返す私は、すでに“大奥”の空気に染まり始めていた。

でも私の女の仮面を誰も知らない。私が色々な男性に抱かれているなんて、想像も出来ないはず。


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