朝の静寂に揺れる思い
2025年07月09日 08:12
海外出張中の夫を見送ってから、もう三日が経った。
静まり返った寝室。まだ少し暖かみの残るベッドに、私はひとり腰を下ろす。
窓の向こう、朝陽がレースのカーテンを透かして差し込み、部屋をやわらかな光で包む。
薄いガウンの裾が膝に触れた瞬間、自分の身体の中にある微かな疼きに気づく。
「……こんな朝は、いけないことを考えてしまうわね」
誰に語りかけるでもない独り言。
でも、心の奥に浮かんだのは、つい最近ふと目が合った、あの男性のまなざし。
年齢を重ねても、女としての欲が消えるわけではない。
むしろ、触れられずにいる時間が長いほど、自分の中の奥底がじわじわと熱を帯びてくるのを、私は知っている。