女としての目覚め
2025年07月12日 06:32
昼下がりのリビング、窓から差し込む光の中で、はづきは静かに紅茶を口に運んだ。
指先の所作、背筋の伸びた姿勢──どこから見ても貞淑で上品な奥様。
けれど、その胸の奥には、夫にも語れぬ感情が小さな種火のように灯っていた。
ある日届いた一通のDM
そこには、ある男性からの丁寧な言葉とともに、「女性としての悦びを思い出させたい」という誘いがあった。
最初は戸惑い、怖れ、そして拒絶さえした。
けれど彼の指導は荒々しいものではなく、まるで古典の舞踏のように優雅で、ひとつひとつの感覚を丁寧に呼び覚ますものだった。
「奥様は、触れられることに慣れていないのですね」
そう囁かれた夜、はづきは初めて、自分の身体がこんなにも敏感だったことに気づく。
知らぬ間に閉じ込めてきた欲望。
そして今、それが、静かにほどけてゆく。
はづきの瞳の奥に、これまでにない艶が宿る。
貞淑であることを疑われたことのなかった彼女が、女として“目覚めてしまった”朝。
鏡の中には、かつての自分とは違う、ある種の自信と妖艶さを帯びた女性が微笑んでいた──。