秘密のアルバイト
2025年08月27日 08:37

朝の光が差し込むダイニングで、はづきはいつも通りに朝食の片付けをしていた。
けれど、胸の奥では昨日の出来事が何度も蘇る。
――どうして、あんなに…。
指先が皿を拭くたび、あのときの感触が鮮やかに甦る。
呼吸が浅くなり、肌がじんわり熱を帯びるのを自覚する。
自分の身体が、昨日よりもさらに敏感になっている。
「行ってきます」
主人の声に、はっと我に返る。
笑顔で送り出したその裏で、心臓は早鐘を打っていた。
ドアが閉まると同時に、押し殺していた熱が溢れ出す。
主人は知らない。
私には、誰にも言えない“秘密のアルバイト”があることを。
そして、今もまだその余韻が、身体の奥に残っていることを――。


