また主人は海外出勤へ
2025年08月28日 08:16

朝、主人を見送った玄関が静けさを取り戻す。
スーツケースを引く後ろ姿が角を曲がるまで見届け、
「気をつけて…」と呟いた声は、すぐに家の中に吸い込まれて消えた。
――また、しばらくひとり。
そう思った途端、胸の奥で何かがほどける。
ベッドに戻り、シーツに身を沈めると、昨夜から続く火照りが再び顔を出した。
誰にも触れられないまま、求め続ける身体。
「…んっ」
指先が触れた瞬間、抑えていた吐息が漏れる。
主人がいない朝。
この孤独と疼きを癒やすのは、結局、自分だけだった。
外は快晴。
けれど、カーテンの奥のベッドの中で、
はづきの世界だけが熱を帯びていた。


