欲求不満
2025年09月17日 08:45
朝の光がカーテン越しに差し込み、部屋を柔らかく照らしていた。
ベッドの中で目を覚ましたはづきは、静けさの中で胸の奥に渦巻く疼きを隠せずにいた。
主人は海外出張中。
長く続く不在に、寂しさと同時にどうしようもない渇きが積もっている。
ただの孤独ではない――女としての欲求不満が、朝の柔らかな空気の中でいっそう強く膨らんでいく。
シーツを握りしめながら、はづきは小さく息を吐いた。
頭に浮かぶのは、昨夜夢に見た熱い抱擁。
唇に触れた感触まで、あまりに鮮明で、胸の鼓動を早める。
「…どうして、こんなに求めてしまうの」
誰にも聞かれない独り言が、朝の静けさに溶けていく。
抑え込もうとすればするほど、身体は正直に疼きを訴えてくる。
欲求不満を解消するために、自らの指先に縋るしかないと知りながらも――
その行為が、罪と背徳の甘美さを伴っていることを、はづきは痛いほど理解していた。
やがて、薄紅に染まった頬を枕に埋めながら、はづきは静かに、けれど確かにその渇きを癒していった。
朝の光は清らかに差し込んでいるのに、心と身体は夜よりも濃い熱に包まれていた。