月に一度のオオカミ
2026年02月16日 11:16

朝、目覚めるたびに、
胸の奥が静かにざわついている自分に気づく。
理由は分かっているのに、
言葉にすると壊れてしまいそうで、
私はいつもその感覚を、そっと抱えたまま起き上がる。
月に一度、満月の夜。
理性で丁寧に整えてきた日常が、
ゆっくりとほどけていく。
その夜の私は、
自分でも制御できない衝動に支配される。
普段は理性の奥に閉じ込めている“本能”が、
月の光に照らされて、顔を出してしまうのだ。
まるで、
月に呼ばれて姿を変えるオオカミのように。
その夜だけは、
欲望を抑えるという選択肢は存在しない。
ただ、求める気持ちに正直になるだけ。
もし、
そんな私を受け止めてもいいと思う人がいるなら――
その時は、
きっと運命なのだと思う。
私は今夜も、
月を見上げながら、静かに待っている。


