デジタル時代に紙の本が選ばれる理由
2025年11月16日 14:53

最近、電子書籍が普及しているにもかかわらず、紙の本の売れ行きが回復しているというニュースを目にします。
一見すると逆行しているように見えますが、むしろ今の時代だからこその流れなのかもしれません。
スマホで何でも読めるのは便利だけれど、通知が入れば読書はそこで中断されるし、
画面は思った以上に気持ちを急がせます。
一方、紙の本はページをめくる以外のことができない。
だからこそ“読むことだけに向き合える時間”が手に入る。
紙は重いし、場所も取る。
それでも選ばれるのは、触れたときの質感や、読んだページの厚み、
自分の手に残る“読み進めている感覚”のせいかもしれません。
情報を受け取るだけの電子と違い、紙の読書は身体がゆっくり巻き込まれていく。
スピードが求められる時代だからこそ、
ゆっくり読むという贅沢が静かに価値を取り戻している。
便利と効率の隙間に、紙の本が居場所を見つけたのだと思います。
結局、人はどれだけデジタルが進んでも、
“触れて確かめられるもの”に安心する瞬間がある。
紙の本が売れているというニュースは、
そんな人間らしさがまだちゃんと残っている証なのかもしれません。


