【日記詳細】 星野はづき(51) T160/B98(G)/W63/H88

朝の微熱

2025年07月18日 09:58

窓から差し込む朝の光が、純子の頬を静かに照らしていた。

五十代も過ぎ、夫は長期の海外赴任。

独りの朝に慣れてしまったはずの身体が、ふとした瞬間に微かに疼くことがある。


シーツに指を滑らせたとき、かすかに思い出したのは、

昨夜夢に見た、誰とも知らぬ男の腕。

柔らかく、でも逃れられないように自分を抱いた、あの感触──

夢だとわかっているのに、胸の奥にまだ余韻が残っている。


「…私は、女なんだ」


小さくつぶやいたその声が、

思いのほか艶を帯びていることに気づき、

純子は一人、苦笑した。


この胸に秘めた欲望は、

決して誰にも知られることはない。

けれど、確かに、今も自分の中で

しんと、微熱のように息づいているのだった。

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