抱いて下さい
2025年09月16日 06:20
朝――。
まだ街が完全に目覚めきらぬ静けさの中、私の身体だけが先に熱を帯びている。
頭では今日という日常を思い描こうとするのに、胸の奥から込み上げてくるのは理性ではどうにも抑えられない渇き。
薄明かりに照らされた部屋の中で、私はひとり、その疼きを抱え込む。
会いたい――その一言で済む感情なら、どれほど楽だっただろう。
けれど私を突き動かすのは、もっと深くて、もっと抗えない欲望。
「抱いて欲しい」――その言葉が喉元までせり上がり、誰にも告げられないまま胸の奥で燃え広がっていく。
寂しさと渇きが混ざり合い、女である自分を痛いほど意識させる。
朝の冷たい空気に包まれているはずなのに、私の身体は熱に震え、あなたの影を探し求めてしまう。
まるで運命のように、朝という時刻は、私をどうしようもない女に変えてしまうのだ。