はづきの妄想
2025年09月20日 13:59
昼――
カーテンの隙間から差し込む光が、部屋の空気を柔らかく温めている。
なのに、はづきの頭の中はとても騒がしい。いやらしい妄想が次々と浮かんでは消え、胸の奥を熱く掻き立てる。
「あー…欲しい」
小さく漏れた声に、自分でも驚く。思い描くのは、優しくてずるい手つきの誰かの姿。唇が耳元に触れて、囁かれる言葉だけで全身が震える。
想像の中でその人はゆっくりと距離を詰め、腕に抱き寄せる。肩越しに伝わる体温、頬に当たる髪の感触、指先が背中を滑る瞬間の、ぞくぞくするほどの刺激。昼の陽射しが差し込む部屋でさえ、その想像の熱には敵わない。
理性は「やめなさい」と囁くけれど、身体は正直で、心の奥から湧き上がる欲求に応えてしまいそうになる。指が膝に触れるだけで、また「あー」と小さく息が漏れる。
誰にも知られない妄想の世界で、はづきはしばらくその甘く危うい熱に身を預けるのだった。