秘密のバイト中
2025年10月14日 11:13

昼の陽射しが眩しく、窓越しに差し込む光が部屋を淡く照らしていた。
はづきは静かに息を整えながら、心の中の鼓動を必死に抑えようとしていた。
表情はいつも通り。
声のトーンも、仕草も、完璧に整えている。
けれど、胸の奥では落ち着かない気配が渦を巻き、
一瞬でも気を抜けば、その緊張が表に滲み出てしまいそうだった。
時計の針の音が、やけに大きく響く。
相手の何気ない言葉や視線が、心の奥をかすかに揺らす。
それでも、はづきは笑顔を崩さずにいた。
――誰にも、この鼓動の意味は気づかれたくない。
外では車の音、遠くで聞こえる人の声。
そんな日常の音が、今のはづきには遠い世界のもののように感じられた。
胸の奥に、言葉にならない熱を抱えたまま、
彼女は“秘密のバイト”の時間を、静かに過ごしていた。


